東京支部九月例句会報告(平成25年)[岸一泉]

日時: 平成25年9月14日(土)

場所: 杉並会館

参加者: 11名


兼題句【耳】:

主宰選 互選 作者
虫の音に耳かたむける良き日かな 並木まどか
耳近く猫に秋夜の留守を告げ 田口君枝
耳悪くすれ違う声秋暑し  中山子泉 
耳すまし聴くひぐらしに想ふ残生  佐藤篤司 
暗がりへ耳かしぐればちちろ虫  塩原正喜 
初月や仏の耳の時代の色 川端三雄 
  秋yららまどろむ猫の聡き耳 長谷川勢津子 
束ね髪うなじ爽やか耳飾り  押見路子 
はかなくも耳にいやしの虫の声  岡田寛 
秋団扇耳に音して夢心地  石川菊子 
色白は耳まで白し秋祭  吉田洋 

 

持参句:

主宰選 互選 作者
唐辛子束に括くられ吊されり 塩原正喜
大海にどっと湧く秋低気圧 吉田洋
秋の日のひと日ひと日を余命とす 佐藤篤司
かかし立つ刈り入れまでの守り人 岡田寛
歩みまで軽くなりたる草の秋 押味路子
手術室向いし我子秋暑し 石川菊子
秋の虫昼間に会ひし者鳴けり 吉田洋
秋茄子を焼いて二人の昼餉かな 長谷川勢津子
朝顔や少女と隘路譲り合ふ 塩原正喜
迷ひ猫戸口に鳴けり良夜かな 川端三雄
今日もなお首にタオルの九月哉 中山子泉
久かたを友と座にして秋三昧 田口君枝
虫時雨夜半過ぎても寝間までも 並木まどか
牛舎へと急ぐ仔牛にカンナ咲く 並木まどか
焼夷弾踏み逃れ来て終戦日 田口君枝
秋の雷ビルの狭間に足浸す 川端三雄
水鳥や気持ちは同じ残暑かな 中山子泉
さはやかに厨に何かきざむ音 長谷川勢津子
震災忌九十回の年重ね 石川菊子
朝顔に生活の音の生まれけり 押味路子
虫どものはたと鳴きやむ忍足 岡田寛
余生とは何時からのこと秋深む 佐藤篤司